
撮影をしていて、印象に残る場所がありました。
玄関の一角に、小さな採光窓があります。
不透明なガラスを通った光が、壁や造作にやわらかな陰影をつくっていました。
外の景色を見せるための窓ではありません。
明るさだけが、静かに室内に入ってきます。
外の様子がわからないぶん、空間は光と形だけで成り立っているように感じられました。
窓の大きさや位置、枠の奥行き、周囲との距離、造作の高さや素材。
どれか一つが違えば、この光の落ち着き方にはならなかっただろうと思います。
光は入ってくるというより、そこに納まっているようでした。
左の壁にはゆるやかな明るさの変化があり、奥には暗がりが残されています。
木のカウンターは、その光のほうへ静かに伸びています。
主張を抑えた構成でありながら、空間の秩序が自然と伝わってきます。
玄関は、外から内へ気持ちが切り替わる場所です。
この窓は、空間を明るくするというより、落ち着かせるためにあるように思えました。
撮影では、この関係がいちばん素直に見える位置を探して、何度か立ち位置や高さを変えました。
少しずれるだけで、奥行きや光の印象が変わってしまうからです。
空間の質を支える要素として、丁寧に設計されていることが伝わってきます。
こうした部分に、その建築の考え方があらわれるのだと思います。





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