建築写真家が、FPVドローン撮影を建築に使う理由

建築写真家が、FPVドローン撮影を建築に使う理由

近年、「FPVドローン」という言葉を耳にする機会が増えました。
スピード感のある映像や、迫力ある動きが注目されがちですが、
私は 建築のためのFPV撮影 を、少し違った視点で捉えています。

それは、
「派手に飛ばすための技術」ではなく、
建築の体験を正確に伝えるための表現手段 という考え方です。

建築は「眺めるもの」ではなく「体験するもの」

建築は、一枚の写真や図面だけで理解できるものではありません。

外観から内部へ入る瞬間、
明るい場所から落ち着いた空間へ移るとき、
天井の高さが変わり、視線が導かれ、
人は建築の中を 移動しながら体験 します。

建築写真は、その一瞬を切り取る表現です。
一方で、FPVドローン撮影は、
その体験の流れそのものを記録できる という特性を持っています。

FPVドローン撮影は、すべての建築に必要ではない

ここは、あらかじめはっきりさせておきたい点です。

FPVドローン撮影は、
すべての建築にとって「必須」の表現ではありません。

・平面的な構成の建築
・動線が単純な空間
・写真だけで十分に魅力が伝わる場合

こうしたケースでは、
無理にFPVを取り入れる必要はないと考えています。

重要なのは、
その建築にとって本当に必要かどうかを判断すること
です。

それでも、FPVが力を発揮する建築がある

一方で、次のような建築では、
FPVドローン撮影が非常に有効になることがあります。

  • 外観から内部へのつながりが設計の要となっている

  • 回遊動線や空間の連なりが体験価値そのものになっている

  • 写真だけでは空間の関係性が伝わりにくい

  • Webやプレゼンで、短時間で印象を残したい

このような建築では、
FPVは「派手な映像」ではなく、
建築を理解するための補助線 として機能します。

建築写真家の視点でFPVを扱うということ

私自身、建築設計に携わった経験と、
長年にわたる建築写真の撮影を通して、
空間構成や動線を読み取ることを大切にしてきました。

FPVドローン撮影においても同じです。

・どこから入るべきか
・どこで視線を切り替えるか
・どの速度で進むか

それらを事前に考えずに飛ばしてしまうと、
建築の魅力はかえって伝わりにくくなります。

FPVは操縦技術を見せるためのものではなく、
建築を正確に伝えるための表現手段
だと考えています。

「空気の粒」として建築を体験する

建築を体験するということは、
空気の粒になって、
建築の中を漂うことに近い感覚だと思っています。

FPVドローン撮影は、
その感覚を映像として表現できる数少ない手法です。

だからこそ、
写真・通常ドローン・FPVを組み合わせながら、
建築ごとに最適な表現を設計すること が重要になります。

FPV撮影を検討する前に大切なこと

FPVドローン撮影を検討する際、
最初に考えていただきたいのは、

「この建築は、
FPVによって何を伝えたいのか」

という点です。

・動線を伝えたいのか
・空間の連なりを見せたいのか
・第一印象を強く残したいのか

目的が明確になることで、
FPVを使うべきかどうかも、自然と見えてきます。

建築FPV撮影について

fusephoto.net では、
建築写真・映像制作の延長として、
FPVドローン撮影を 建築表現の一手法 として取り入れています。

建築ごとに内容を伺い、
写真・通常ドローン・FPVの役割を整理した上で、
最適な構成をご提案します。

FPV撮影についての考え方や、
具体的なプランについては、
以下のページで詳しくご紹介しています。

👉 FPVドローンによる建築映像表現

最後に

FPVドローン撮影は、
「使えば良くなる」魔法の技術ではありません。

しかし、
条件が合ったときには、
建築の価値や体験を
非常に明確に伝える力を持っています。

建築の魅力を、
どのような形で残し、伝えるべきか。

その判断から一緒に考えることができれば、
それが最も良い結果につながると考えています。

 

布施 貴彦
建築設計の実務経験を基盤に、建築写真家として独立。
20年以上にわたり建築撮影を専門とし、累計4,000棟以上、年間約200棟の撮影実績を持つ。
一級建築士として空間構成・素材・光環境を理解した上で、撮影から現像・納品までを一貫して設計。
独自に構築した高効率ワークフローにより、再現性の高い色表現と安定したクオリティを実現している。
建築を「完成写真」ではなく「設計意図を伝えるための媒体」と捉え、設計者・建設会社の価値を最大化する建築写真を追求している。
一級建築士
二等無人航空機操縦士(国家資格)
第三級陸上特殊無線技士
第四級アマチュア無線技士
一級建築士事務所主宰

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